ネットビジネスの課税
インターネットの発達により誰もが世界を相手にビジネスできる時代がきています。ネット上で商売するためのサーバーの場所は、今や日本だけではなくアメリカやシンガポール、香港、あるいは税金の無いタックスヘイブンなど、世界各地に存在しています。
もし、会社が所有し管理するサーバーの設置場所が日本以外の場所、たとえばアメリカにありアメリカ人を相手に商売するようなケースは、日本あるいはアメリカどちらの国で課税されるのでしょうか?電子商取引(EC)に関する課税は、過去にない事例ですので各国ともどのように所得の源泉(=どこで所得が発生したか)を決定し、どのように課税していくかについてはまだまだ統一的見解がなく議論の残るところです。しかし、今年の1月に公表されたOECDの指針は非常に参考になります。なお、恒久的施設(PE)があれば課税されるというのが国際税務の一般的な原則です。
1)ウェブ・サイト自体は、恒久的施設とはなり得ない。
つまり、ホームページだけでは課税されることはない
2)ウェブ・サイトを包摂する施設は、典型的な形では、これを通じて事業を遂行している企業にとって恒久的施設を構成するものではない。(たとえば、ネット上のショッピングモールなどはPEには該当しない ので、そこに参加している企業は課税されない)
3)インターネット・サービス・プロバイダーは、極めて例外的な場合を除いては、他の企業の従属代理人としての恒久的施設を構成することにはならない。(プロバイダーは契約している企業にとっては、代理人PEとはならな いので、企業のかわりにプロバイダーに代理人として課税されるこ とはない)
4)サーバーのようなコンピュータ施設の設置された場所は、状況によっては、恒久的施設を構成することもあり得る。そのためには、その場所で行われる機能がその企業の事業活動の基幹的かつ重要な部分であることが要件となる。(サーバーを設置していれば、PEと認定され条件によっては課税さ れることもある)
企業が任意に処理し得るサーバーを所有する場合、それがPEとなるためには、その企業の事業の全部又は一部がそのサーバーを通じて行われていることが要件となりますが、この要件を満たすかどうかについてはケース・バイ・ケースで判断するほかありません。ただし、その施設を操作するためにその場所に人員が配置されていることは必ずしも必要ではありません。つまり、サーバーの場所に人が存在するかどうかは、課税の有無には重要性を持たないということになります。 一定の場所にあるコンピューター施設を通じて行われる電子商取引が、専らモデル条約5条4項に規定されている予備的または補助的な活動である場合、PEがあるとは認定されませんが、その判断はケース・バイ・ケースで行うしかありません。
例えば、次のような活動はそれが企業の全体としての活動の本質的かつ重要な部分を形成するものでない限りは、予備的または補助的な活動の範囲に入りますので、PEとして認定されず課税される可能性は少ないでしょう。
1) サプライヤーと顧客の間のコミューニケイション・リンクを提供すること
2)商品やサービスの広告をすること
3)安全性・効率性の趣旨から、ミラー・サーバーを通じて情報を送ること 4)市場情報の収集
5)情報の提供
企業の中核的な機能が何であるかは、その企業の行っている事業の性質によって決まります。例えば、インターネット・サービス・プロバイダーが他の企業のウェブサイト等を管理運営する目的で自己所有のサーバーを操作している場合には、お客に対するサービス提供を目的とするプロバイダーによるサーバーの操作は、プロバイダーの事業活動の本質的な部分となりますのでPEとして課税される可能性があります。また、ネット・ビジネスを行う会社の典型的な機能(顧客との契約の締結、代金支払いの処理、商品の搬送など)が一定の場所に所在するコンピュータ施設を通じて行われている場合には、これらの活動は単に予備的、補助的なものとはいえないので、PEとして認定され課税される可能性があります
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